――――――… 関谷の住むマンションに入るのは、あたしは実は二度目、だったりする。 一度目は、関谷が熱を出した日。慌ただしく帰ったあの日は、周りを見渡す余裕もなくて、薄暗くてシンプルな部屋、っていうイメージだった。 そして、今日は、 「……何、つったってんだ?」 玄関先で、思わず立ち止まってしまったあたしを関谷が怪訝な顔をして振り返る。 「別に。お邪魔します」 思わず眼鏡に手をかけた後、履き慣れたパンプスを脱いで、 その単純な動作にやっとあたしは、 緊張していると気付いた。