「だけど、抱かれてないでしょ?」 山都さんは、悪戯に瞳を光らせて、薄い唇がクと上がる。 「…」 あたしは、思わず殴りたい衝動に駆られながら、この変態メガネと、胸の内で罵ってやった。 「…今、サラリと毒はいた?」 「ええ、胸の内で、ですけど」 「つまり、図星?」 「セクハラですよ」 「純粋に興味あるから聞いてるだけ」 「変態ですか」 「それもいいねー?」 ククと笑う、綺麗な横顔。 あたしは深く溜め息をついて時計を眺めた。