「 …別に、落ち着いてるし…
―― 朝から親が、バカな事言ってるから
怒って出て来ただけだし 」
「 バカな事ですか? 」
「 ―― 再婚したでしょウチ
なんかオジサンが、引っ越すとか言って
もう転校先まで勝手に決めて来てさ
信じらんないでしょ?!
お母さんも突如、仕事辞めてるしさ
…私が熱とか出してたって
会議とかなんとか言って、
行っちゃってたくせして 」
「 …そりゃおまえ
母一人子一人なら、
お母さんが頑張らないと 」
「 ウチは!お父さんが残してくれた
お金があるの!!
… じゃなかったらあんなバカ高いトコ
通えるわけないじゃない!
――― 自分が働いてたかったのよ!!
私が具合わるいとかよりも…
でも新しいダンナ出来たら
そっちの機嫌取りたいからって
言いなりになっちゃってさ… 」
「 まあ… そうかもしれないなあ 」
「 ―― !! 」
リルカの体が、ビクリと震える
「 …… 阿部先生 」
責めるような、藤本の声