今日も生き残れました。

私はなかなか会えない貴女に、心の奥で呟きました。


「…なあ、英男。俺正直怖い」


不意に私に声をかけてきたこの男は
阿部勇作、私と同じ時期に入隊し同い年の、共に励ましあった仲間です。


「怖い、か」

「英男は怖くないのか?
敵陣に命を懸けて突っ込むなんてこと…」

「…怖いさ。毎日願ってる。明日自分が特攻隊に選ばれないように」

「……俺たち、死ぬのかな」

「…今日いった奴ら、全員未帰還だとさ」

「はは…そうか。」

「死にたくないか?」

「…いや。国の為だ。」


さっきまでの彼と違う空気。