あれから数日が経った。

その訪問者がきたのは、お昼に入る前だった。

「来客です」

受付嬢からそんな電話を受けた。

来客?

今日はそんなものなどないはずだが。

そんなことを思いながら、僕はエレベーターを使って1階へと降りた。

首を左右に動かしながら、それらしき人を探した。

「西山さん」

その声に視線を向けた瞬間、僕は目を見開いて驚いた。

「私を、覚えてますか?」

その訪問者――谷川奈々恵が言った。