「あらー、みっこちゃんは一緒じゃないのー?」


「社長は今夜はジムだそうです」



義務的な口調はまるで秘書みたいに抑揚のない言葉を綴る。


彼女はよく『冷たい』と誤解されやすいけど、まあこの調子じゃ仕方ないねー。



「ふーん。高見ちゃんと二人でも面白くないんだけど、仕方ないねー。それにしてもみっこちゃんあれ以上体鍛えて何になるつもりだろうねぇ」


僕の言葉に眼鏡を軽く抑えて、


「超人ですかね」


サラリとそんな答えを返してくれる。これが素だから面白い。