だけど、彼女は扉を出て二人の影を追いかけていった。
俺はフゥと溜め息をついてグラスを口にする。飲み干した空のグラスを眺めて、マスターが
「…もう一杯いきますか?」
と淡々とした声をかけた。
俺は軽く頷いてから、また少し笑う。
隙、が見てみたいと思ったのは本当。
女、が見てみたいと思ったのも。
だけど、それは、思ったよりも甘美で切ないものだね?
…安心?
してるつもりはないけどね。
あの意地っ張りな高見ちゃんが、素直になる筈などないから。
…もう少し、かき混ぜて見るかな?
俺はゴールドの液体をクイッと喉に入れた。
Fin

