悪戯心-山都side-


扉がバタンと閉まった後、俺はクッと笑う。握った手に、感じない温度が名残惜しい。


「…何、笑ってるんですか」


静かな女性の声は、苛立ちと怒りを含んでいて、


「ああ、気を悪くした?すまないね」



無意識に出ていた素の笑みを隠して、いつもの表面的笑顔を貼り付ける。彼女は少し、泣きそうな顔をしている。ああ、甘えたいんだね?だけど、


「…振られちゃったねー?」



安心をあげる笑みとは反対の冷たい言葉。慰めるつもりは全くないから。