森の中をただ歩いていた。

木の実を背負って、ただ、どこへ行くでもなく。しかし、まっすぐに歩いていた。


そんな時、途中で猫に出会った。


「どうしたにゃ?こんな森の奥深くで。」

「いやね。木の実を探してるのだよ。」

「木の実ならたくさんもってるにゃ。それじゃだめなのかにゃ?」

「うーん・・・。食べ飽きちゃったんだよね。」

「ならちょっとくれないかにゃ?」

「いいよ?たくさんあるし。」

「おいしいのにゃ。」

「あはは・・・。夢で見た木の実はもっと美味しかったんだけれどなぁ・・・。」

「夢で見た?」

「そうなんだ。さっき、眠ってるときに見た、見たことが無い木の実だよ。」

「へぇ~・・・。どんなのかにゃ?」

「えっと・・・。紫色で粒々が沢山付いてた。」

「あぁ~・・・。そういえば最近はそんな木の実もあったと思うにゃ。」

「そうなの!?」

「うん。だけれど、まだ食べれないんじゃないかなぁ・・・。」

「そんなことないよ!美味しいに決まってる!」

「なら、案内してあげるにゃ。ついてくるにゃ。」


猫の案内の元、きつねは胸を躍らせて歩き始めた。猫はきつねの来た道を戻り始めた。


そして、ちょっと横道にそれたところにそれは実っていた。