「昼休み桃井に呼び出されたんだ」


水野くんは言いながら

私の隣にあった机の、

私のいる面とは反対側に腰をかける。


昼休み、稜佑が居なかったのはそれか。


なんて思いながら続きを待つ。


「最初に『今朝は助かった』なんて言われて

なんのことかさっぱりわからなかったけど。

その後すぐにあいつ、

自分は不誠実でだらしないやつだ、

だから山田さんを想うことも失格だから

俺が君の傍に居てやってほしい。なんてさ」


稜佑がそんなことを……。


びっくりしておろおろしてしまうと、

水野くんはくすっと笑って、言った。


「嫌味だよね。

大切な子の好きな奴からそんなこと頼まれて、

『はい、わかりました』って言えるわけ無いじゃん。

悔しかったから『山田さんは俺が幸せにする』なんて

くさいこと言ったら、

あいつ、笑ったんだ、安心そうに」


うんざりそうに頬杖ついた水野くん。


そうか、さっきの『行ってらっしゃい』って――!