――「伊東くんっ」

放課後、

帰ろうとしていた彼を引き止める。


昨日みんなに話したように、

私はやっぱり稜佑の過去を知りたい。


少しびっくりした様子だった伊東くんは

私に向き合うと、

「稜佑のこと、だよね?」

私に小さく尋ねる。


「この間はああ言ったけど、

私やっぱりアイツのこと、知りたくて」


「うん、わかった。

本人はきっと話さないから。

俺が知ってるあいつとあいつの昔の話をするよ」


私たちは学校を出て、

学校から駅までの途中にあった公園に着くと

ベンチに腰掛ける。


「俺が稜佑と知り合ったのは幼稚園のとき。

俺らより先に母親同士がね、仲良くなったんだ。

それから俺と稜佑もよく遊ぶようになった。


稜佑の母親は、多忙な夫と裕福な家庭を持ちながら

とても気さくな人で、俺の母親も好いてた。


でもある時――」