「それで、

先ずは美奈に接しづらいこと、だけど、

美奈を見ると
桃井くんと教室で押されて倒れてしまったシーンを思い出して

それで近寄りがたいって感じてしまう気持ちは

香乃子も自分でわかってると思う。


私はそれに加えて美奈に対して、

桃井くんが女の子とまたよく接するようになってから

香乃子が感じてる胸の痛みを美奈にも抱いてると思うの。


その感情の正体、香乃子はわかる?」


美奈に感じる違和感、

稜佑の態度とそれを受ける女の子を見る胸の痛み、

その感情の正体……?


私は苦しくて考えたくなくて、

そしてこんな感情、今まで前例がなくてわからなくて


手元にあるマグカップを握ったまま

首を横に振った。



「私はそれは美奈や女の子たちへの

香乃子の嫉妬なんじゃないかなって、思うんだけど、

どう思う?」



……『嫉妬』?


「その感情の正体を決めるのは香乃子だけど、

私も似たような感情を抱くときはね、

学校の違う彼から会ったときに女の子の話題が出たり

実際デート中に私の知らない、

彼の学校の女の子と偶然すれ違って

彼とその子が話しているときとか、

もやっと感じてしまうんだぁ。


香乃子も同じ気持ちかなって」