「――はっ?」
にこにこと椅子を机の横に位置づけて、
長い手を伸ばして、隣の机から筆記用具を取り出す。
……そういえば、稜佑の席、そこか。
なんて思ってる場合ではなく!
「なんで?アンタも馬鹿なの?テストやばいの?」
真面目に聞くと、
「ぶはっ、香乃子ちゃん最高」
何故か笑われる始末。
「え、大丈夫?水野くんさえよければ、一緒に……!」
見るからに馬鹿そうだもん、コイツ。
いつもは嫌な奴だけど、
テスト勉強が進んでない気持ちは痛いほどわかるわ!
今回だけは味方!な気分で同情心を抱いて、
心配だなと思いながら稜佑見ると
「色んな意味でやばいなーと思いましてー」
とちらっと水野くんを見た。
その視線の先の水野くんはなんだか気まずそうだ。
そうだ、水野くんは初めから稜佑にしつこく絡まれて、
被害を被っている。
もしかして、水野くん稜佑が苦手なんだ。
それなら申し訳ないかな……。
そう思って水野くんを見続けると
目があって、そらされてしまった。
「水野くん、稜佑嫌だよね?」
彼を思ってそう言うと、
また斜め横で稜佑が笑いだした。
「……そうじゃない。けど――」
水野くんは本当に居心地の悪そうな顔で
稜佑が嫌なのではない、と言った。
『けど』?


