私が口を閉じると
教室はシンとした空気に包まれた。
水野くんは下をうつむいている。
……やばい、また、なんかキツい事言ってしまった?
「み、水野、くん?」
おそるおそる彼に声をかけると、
彼の肩が小刻みに揺れだした。
ん!?
泣いてるとか!?
びっくりして私はそのまま彼から目が離せないでいると、
「ふっ……、ははっ……」
小さく漏れているその声は、
どうやら、
「笑ってる」
私が彼が笑っているのに気づいたのと
彼が今までで一番なんだかふっきれたような爽やかな顔を上げたのは同時だった。
「山田さん、ありがとう」
彼が笑ったこともその明るい表情も、
私には彼の中のどんな感情がそうさせているのかはわからないけど、
それでもなんだかお礼を言われるまでには彼に私から何かを伝えられたはずなんだ。
自分の言葉が誰かを傷つけることなくちゃんと届いた。
彼の感謝の言葉によってなぜか私の視界が滲む。


