「……え、今それ?」
と、呆れ顔で水野くんは手元にあったノートを指差した。
「あ、そっか……。
ごめん、集中してなくて」
私は気を取り直して
目の前の問題を時始める。
……だけど、やっぱりさっきのが気になって。
「水野くん、この問題ちょっとわかんなくて…………水野くん?」
集中出来なくて一旦休憩にしてもらおうかと思って彼に話しかけると
私が問題を解いてる間に読み始めたらしい本に夢中になって、
私の声は届いてないみたい。
そんな彼をぼーっと見ていると、
ふと読んでる本が気になって立ち上がって横からのぞいてみた。
「あー、これか」
その作品は前に兄に借りたやつで、
私はすでに読み終えているものだった。
今どこ読んでるのかなー、なんて彼の顔の隣に顔をもっていくと
急に横に並んだせいでびっくりさせてしまったらしく、
ばっと勢い良く、水野くんの顔がこっちに向いた。
……近っ!!!
ガタガタッと椅子を引いた音が教室に響くと、
水野くんはしばらく驚いて呆気に取られた顔のまま。
「あ、ごめん、休憩にしない?って声かけようとしたんだけどさ……。
本に集中してるみたいだったから」
ばつが悪く私もさっきまで座ってた向かいの席に戻る。
やっと落ち着きを戻しかけてきた水野くんは
苦々しい顔をして椅子を戻すと、
「ああ、またやってたんだ。ごめん。
……うん、休憩にしよう」
といって、目頭を押さえた。


