私は血を流しながらズキズキする左手を
どうしていいかわからずに動けないままでいた。
人差し指中指薬指のそれぞれ第二関節の少し下のあたりから
地面へぽたぽたと血がつたう。
「おい、香乃子ちゃん!!」
真隣りで稜佑の声が聞こえて
顔を見上げると
いつもの整った余裕そうな表情からは
想像もつかないくらい怖い顔。
「……稜、佑」
「包丁で手切ったの?……保健の先生んとこ行こう!!」
切っていない右腕を掴まれると
もう1つ足音が寄ってくる。
「香乃子ちゃん!大丈夫!?」
「紗依ちゃん……」
心配そうに私をみてくれている。
……って、よく見ると稜佑が大きな声だしたせいで
大した怪我じゃないのに周りの人たちが全員こっちを見ている。
「あ、榛名、俺と香乃子ちゃん手当てしに抜けるから後よろしく」
それを聞いた紗依ちゃんが頷いて
「うん、先生に言っておくね」
と言ってくれたのを聞いて、
注目を浴びつつも私は大人しく稜佑に腕をひかれて引率の保健の先生のところへ向かった。


