「私たちは調理続けよう」
紗依ちゃんは茜ちゃんと美奈ちゃんを微笑ましく見届けた後に
振り返って私の横に立った。
「香乃子ちゃん、切り方わかる?」
と私がどうして良いのかわからないでいるのに気づいてくれた紗依ちゃんが
隣で切り方を教えてくれて、
後は左に切って行けばいいところまでいくことが出来た。
ここまで来たら失敗もないでしょ。
そう思って怖いからゆっくり切っていると
「あー、紗依!私たちにも切り方教えてー!」
とうちのクラスの他の班の子が紗依ちゃんを指名して、
私はもう教わり終わったということで
私に一声かけてくれた後に
紗依ちゃんはその子達のテーブルへ行ってしまった。
……包丁って、なんか1人で持つとだいぶ不安ね。
急に1人になってやけに緊張したのか
包丁を持つ手に力が入った。
まあ特に難しいことしてるんじゃないし、落ち着いてやろう。
と気を取り直して、また包丁を玉ねぎにおそろう――とした時、
「きゃあー!!虫ー!!」 ドンッ
急に悲鳴が聞こえたかと思うと、
腕に何かがあたり、
玉ねぎを切ろうとした包丁が
押された腕によって、玉ねぎをおさえてた私の左指におりた。
「――っっ!!!」
痛みのあまりとっさにはなしてしまった包丁がテーブルに落ち、
少し刃の部分がカランといったかと思うと
それとは違ったさらに大きい音がガランッと別の方向から聞こえ、
「香乃子ちゃん!!!」
普段は決して人前で呼ばない呼び方で私を名前を呼んだのは
既に鍋をかえてもらってこっちに戻ってきていた稜佑だった。


