「……あー、まあな
軽く癖なんかな、チビん時からの」
と力の抜けた声が返ってきたのが意外で
言葉を続きを待つも
それ以上話す気は無いのか
彼の口はそのまま動かない。
「……こ、この間水野くんに何の本読んでるのか聞いた時、
読んでいる本の表紙を見せてこたえてくれてたの、
稜佑が言ってくれるまで私気がつかなかったよ!
しかもさっきだって、
私がこの席嫌がってるのに気づいたし」
私が無理やり続けると、
稜佑はふっと笑って
「この席嫌がってたのは、あんな顔されれば誰だって気付くよ」
と言った。
さっき口を閉じていたあの雰囲気とは違う、少し温かい空気が流れた。
「え、何それ」
『あんな顔』と言われて気になると
「こんなん」
といって手を使って眉を上げ、
眉間にシワを寄せた変な顔をする稜佑。
「うわ、気持ち悪っ」
「気持ち悪って香乃子ちゃんの真似だからね!?」
「私がそんな変な顔するわけないでしょ」
「いや、本当だって!!」
いつもの感じで会話できるようになると
少しホッとしてる自分に気づいた。
……なんかさっき一瞬みえた稜佑の感じが、
パンドラの箱のような、触れてはいけない部分だったのかと思えたから。
けど、すぐいつもの稜佑に戻ったから、
あれはきっと私の勘違いなんだろう。


