スキャンダルなアイツ-プレイボーイに気に入られたのは毒舌地味子-




「なっ……!?」

耳元がぞわっとして

急いで手でおさえる。


だからコイツはいちいち近いのよ!


「俺の隣、嫌だったんじゃないの?」

珍しく察しの良い稜佑にびっくりしてると、

「いやいや、俺いつも気づいてるからね?」

と少し寂しそうに笑った。

そんな様子に少し違和感を感じながらも

「気づいてんならやめてくれる」

と本音を伝えたところ

「人から無理やり俺とくっつけられて嫌がられたくはないけど、

俺が好きで近づいてる時はいいの!」

とわけのわからない、でもいつもの彼の調子でこたえられた。

「俺が何か言ってもさ香乃子ちゃん本気で嫌がってるように見えないし、

俺も一緒にいると面白いしさ」


そんなわけあるか!

私はいつも本気で嫌がってる……と思う。

しかもまた言った『面白い』。


「私アンタのおもちゃじゃないけど」

不満たらたらの声に自分でもびっくりしたけど、

隣の稜佑を見ると彼もまた不満そうだ。

「また『アンタ』っつった」


だってこんなみんなの前で名前で呼んだりしたら

仲良いと思われちゃう!


「誰か聞いてるかもしれないところで名前で呼べるわけないじゃん!」

「なんで?」


私のこたえを聞いて納得行ってなさそうな彼にストレートに伝える。


「仲良いって思われる」

「いいじゃん!」

「嫌だ」


即答に即答で返すくらい

私はコイツと同類だなんて思われたくないんだ。