美奈ちゃんの言いたいことはわかった。
要するに茜ちゃんと伊東くんを
何か自然な理由をつけて隣に座らせたいんだよね。
それには協力したいけど……、
「何で……「班長副班長って理由にした方が自然じゃん?」
断ろうとしたけど
美奈ちゃんに圧のかかった小声で耳打ちされるとそれ以上強く言えそうになかった。
「あっ、桃井くんはここ、
伊東くんはここねー」
と美奈ちゃんは半ば無理やりに男子を席に追いやって
自分は3列目に紗依ちゃんと座った。
紗依ちゃんは
「少し強引だよー」
と心配そうにおろおろして私を見た。
私は仕方ないよと苦笑いすると
少し納得したような顔で席に着いた。
「え、何々?
香乃子ちゃん俺の隣が良かったの?」
またいつもの調子で軽口叩く
稜佑を無視して、
早速私は眠りにつこうとする。
バスからハイキングする山までは確か2時間半。
一眠りくらい余裕ね。
なんて思ってたのに
隣から耳元に声が響いた。
「なんでちゃんと嫌だって言わないの?」


