捜索は奈々と綾斗、ラルフと皓の二組に分かれて行う。

「言っておくが」

時雨が新兵達に睨みを利かせた。

「くれぐれもこの機に乗じて自分も脱走しようなどとおかしな考えを起こさないようにな」

彼女のその言葉に。

「おい!」

皓が時雨を突き飛ばした。

軽く後ずさりする時雨。

「こ、皓君!」

「止せ、時雨教官は上官だぞ」

奈々と綾斗が皓を止めるが。

「見損なうな!俺達は仲間を迎えに行くんだ。誰が逃げたりするもんか!」

ふざけるなとばかりに皓は吠える。

「それに、晴だって脱走したんじゃない。きっと、ちょっとだけ外の空気吸いに行っただけだ!脱走兵脱走兵って何度も言うな!」

「…そうか」

微かに笑みを浮かべ。

「ならば行動開始だ。定時連絡を忘れるな」

時雨は部下達に命令を下した。