alternative

時雨の言葉は、不思議と新兵達に落ち着きと自信を与えた。

そうだ。

この三ヶ月間、死んだ方が楽になれるのではないかと思うほどの地獄の訓練に耐え抜いてきたのだ。

仲間達と協力すれば、AOKにだって勝てる。

過剰な緊張は和らぎ、代わりに僅かではあるが自らの積み上げてきたものに確かな手応えを感じ始める。

その時だった。

「っっ!!」

突然、分隊を乗せたトラックが急ブレーキ!

部隊の面々は大きく前のめりになる。

「時雨少佐!」

トラックを運転していた兵士が叫ぶ!

「前方にAOKを三体確認!」

「出たか」

時雨は幌から顔を覗かせる。

…既に一般市民が全て避難し、放棄された市街地。

その荒れ果てた道路の真ん中を、我が物顔でしゃがんでいる白いエイリアンの姿が三つ。

人間のものなのか、動物のものなのか。

三匹はたかるようにして、死肉を漁っていた。