alternative

うろたえる新兵達に、覚悟の時間など与えられはしない。

第207訓練分隊は、すぐに基地に到着した小型トラック、その幌付きの荷台に乗り込む。

機甲科偵察部隊の車輌に揺られて、彼らは即座に任務へと就く事になった。

…荷台の新兵達は、自然と無口になる。

無理もない。

突然の実戦だ。

初陣がいきなりのAOKとの戦闘。

数々の戦場を潜り抜けた熟練の兵士ですら相手にならない、不死身の化け物との戦いだ。

「だが考えようによっては…普通の戦争で人殺しをするよりはマシかもしれないな」

ラルフがM4アサルトライフルに弾丸を込めながら言う。

「馬鹿言わないでください!」

彼の言葉に奈々がヒステリックに叫ぶ。

「相手が人間だからとか、そうじゃないとか…そういう問題じゃないんです!戦争なんですよ?私達こないだまで一般人だったのに!」