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しかし。

「あぅっ!」

特に戦闘に関する技術や知識を持たない奈々だけは、なかなか軍刀の扱いが進歩せずにいた。

今日も時雨に叩き伏せられ、練武場の板張りの床に這い蹲る。

「立て、香月!」

時雨が強い口調で言うが。

「もう嫌っ!」

軍刀を投げ捨て、這い蹲ったまま奈々は泣き声を上げた。

「私はこんな乱暴な事したくない!私は普通の女の子なの!戦争や戦いなんてしたくないし、そんな事より恋愛やオシャレに興味がある、普通の17歳なの!」

ツインテールの髪を振り乱し、彼女は泣きじゃくる。

「どうして私が戦わなきゃいけないの!戦争なんて兵隊さんがすればいいじゃない!」

「……」

奈々の悲痛な声に、練武場にいた他の新兵達も動きを止めて押し黙る。

本当は、新兵の誰もが思っている事。

誰だって、好き好んでここで戦闘訓練などしている訳ではない。

『何で俺が』、『何で私が』。

その思いを噛み殺し、ここまで過酷な訓練に耐えていたのだ。