alternative

時雨の手から、直接五人に軍刀が手渡される。

晴、奈々、綾斗の三人は、時雨が持っているのと同じ一般的な『打刀(うちがたな)』といわれるタイプのもの。

しかし残る二人…皓とラルフに渡されたものは形状が違っていた。

皓は元々盗賊生活でナイフの扱いが得意だった事もあり、刃渡りの短いナイフが支給される。

そしてラルフに渡されたのもまた、刃渡りの短い軍刀。

皓のナイフよりは刀身があるが、それでも刀というには短い。

「資料によると、ラルフは銃火器の扱いに長けているそうだな」

時雨の言葉にラルフが頷く。

「扱いに長けているというか…父がガンスミス(銃の製造、改造、分解、メンテナンス等を行う職人、すなわち銃の整備士の事)でしたので」

自然とラルフもその技術を身につけるようになり、当然銃火器の扱いも上手くなった。

「そう思って、貴様の持つ軍刀は銃剣としても使用できるタイプにした。ライフルの先端に取り付けて、槍のような扱い方をする事が出来る」

時雨は入隊する新兵の個性に合わせて、予め軍刀を発注しておいたのだ。