「この『10式近接戦闘用軍刀』は特別なのだ」

時雨は薄く笑った。

…皓も男だ。

言った事は必ず守る。

ただ…。

「お願いだ。俺の仲間は戦場に出さないでくれ。危ない事はさせたくない」

この期に及んで、彼は仲間の事だけを案じていた。

その心意気に時雨は打たれる。

「承知した。お前の仲間は看護兵や補給部隊に回そう。前線に行く可能性のある部隊には回さない」

幼くとも『漢(おとこ)』。

時雨は皓の言葉に強く頷くのだった。