その配給所が荒れ果てている。

兵士が言うには、数名の盗賊団がここを襲撃し、食糧を強奪しようとしたのだという。

何とか殆どの盗賊を捕縛したものの、残る一人…頭目と見られる人物がことの他手強いらしい。

「貴様らは普段何を訓練しているのだ」

兵士達を呆れ半分で一喝した後、時雨は一歩前に出る。

…廃墟と化した家屋の片隅に追い詰められ、兵士数名に囲まれている盗賊の頭目。

それはまだ年端もいかない、幼ささえ残る少年だった。

「子供ではないか」

「ふざけんな!」

その少年、皇城 皓(すめらぎ こう)は時雨に怒鳴り返す。

「俺は14歳だ!子供じゃねぇ!」