午前四時。

まだ夜も明けきらぬうちから、各部隊が出撃準備に取り掛かる。

国土奪還作戦『Operation Daybreak』。

その発動を待つばかりの状態。

各部隊との連携、装備品の確認、作戦の最終打ち合わせ。

作戦は先日の基地防衛戦を大規模にしたものと考えればいい。

爆撃機、戦闘機が先行して、対地ミサイル、空爆によるAOK支配区域への攻撃を行う。

その攻撃でAOK群を再生状態にまで追い詰めた所で、戦車、装甲車、重火器で武装した歩兵部隊が進軍、AOK群を行動不能状態に保ちつつ、時雨分隊の進路を確保。

その後、時雨分隊は一気に北九州の大型AOK、通称『マザー』の生息域まで突入し、これを駆逐する。

群れのリーダーを失ったAOKは統率力をなくし、戦力を大きく減少させる筈。

後は時雨分隊を中心に各個撃破し、AOKを国内から一掃する。

…勿論、この作戦にも穴はある。

本当にマザーを駆逐する事でAOK群の戦力は落ちるのか。

過去誰も為し得た事のない作戦だ。

確証があるとは言えない。

ましてやAOKは地球外の生命体。

人類の常識が当てはまるとは限らない。

しかし、他に方法がないのも事実。

このまま人類滅亡を待つくらいならば…。

人類は、一縷の望みをこの作戦に託す事にしたのだ。