alternative

脇腹に咬みつかれ、そのまま体を持ち上げられる時雨。

自重とAOKの咬合力でメキメキと胴が音を立て。

「ぐぁぁあぁあああっ!」

やがて時雨の体は、上半身と下半身が別れを告げる。

「いやあぁあぁぁあぁあっ!」

信じられないような残虐なシーンに、奈々が卒倒する。

「こんのぉおおぉぉおっ!」

動いたのは綾斗と皓だった。

皓がAOKの頭部にナイフ型軍刀を突き立て、綾斗が時雨の仇とばかりにAOKを胴から両断する!

特に綾斗は執拗にAOKを痛めつけた。

「こいつめ!こいつめ!」

原形を留めないほどにAOKの体を切り刻む綾斗。

憎悪と憤怒が入り混じった表情で、何度も何度も軍刀を振り下ろす!

「よくも…よくも時雨教官をっっっ!」

その声に嗚咽が混じり始める頃。

「もう…止せ…」

掠れた蚊の鳴くような声が綾斗の耳に届いた。

「き、教官ッ?」

綾斗が、他の隊員達が、無惨な姿となった時雨に駆け寄る。

体を真っ二つにされたというのに、時雨はまだ死んではいなかった。