alternative

「全く…成長したと思ったが、まだまだ私がいないと戦闘も儘ならんな」

再生途中のAOKの始末をしながら、時雨お得意の説教が始まっていた。

本日のターゲットは、独断専行して分隊に迷惑をかけた綾斗だ。

その後ろでは他の仲間達が苦笑い。

時折綾斗が助けを求めるように視線を投げかけるが、仲間達は首を横に振る。

『諦めろ』という事らしい。

「いいか蒼崎。死んでは何もならんのだ。貴様がどんなに優れた兵士であろうと、死ねばただの屍でしかない」

時雨は説教の度に、『死んではならん』を繰り返す。

彼女ほどの勇敢な兵士が、臆病なまでに死ぬ事を恐れているように思えた。

本来ならば、死をも恐れず先頭きって戦いに赴きそうなタイプだというのに。

熱弁を振るう時雨。

項垂れて話を聞く綾斗。

だから気づかなかったのだ。

「うぐはっ!」

突然地中からAOKが飛び出してきて、時雨の胴に食らいつくまで。