alternative

横須賀基地正門付近。

既に戦車や装甲車、武装した兵士達によって防衛線が敷かれている。

ここは最終ライン。

既に数キロ先に第一、第二の防衛ラインが敷かれているらしいのだが。

「第一防衛ライン突破されました!AOK群、依然勢いおさまらず!」

通信兵の声で兵士達は騒然となる。

「駄目だな、やっぱり通常兵器じゃ足止めできないらしい」

ラルフがゴーグルをキュッと押し上げた。

「どうする?俺達も前線に出るか?」

皓が綾斗の顔を見る。

「行くべきだ…『俺』はそのつもりだけどな」

わかる者にはわかる。

綾斗は既に冷静さを失いつつあった。

狼狽する兵士達。

そこへ。

「戦車隊及び一般歩兵は現在位置で砲撃!弾幕を途切れさせるな!」

歩いてきた時雨が、凛とした声で指示を出す。

「第207訓練分隊は私に続け!砲撃で撃ち損ねたものや再生を始めたAOKの掃討にかかる!援護射撃の射線を塞がないように注意しろ!」

「時雨少佐だ!」

「時雨少佐が来てくれた!」

『不死身の時雨』の異名は、横須賀基地全体に知れ渡っている。

その時雨が指示を出す事で、兵士達の士気も自然と向上した。

「総員かかれ!」

時雨の声で、兵士達は一斉に行動を開始した。