alternative

時雨が指示を出すまでもなく。

「配備につこう」

ラルフが動き始める。

「二手に分かれた方がいいか?」

小走りに走りながら言う皓。

「一旦は基地の正面で待機した方がいいんじゃないかな。あとは臨機応変に対応っ」

奈々がそれに続く。

「そうだな、俺達は分隊単位だから、部隊の小回りも利く。戦況に応じて動こう」

晴も頷いた。

「綾斗、キレるなよ。なるべくはフォローするけど」

「ああ…わかってる」

ラルフの気遣いに綾斗も答える。

…訓練場から走り去っていく新兵達。

いや、もうあの迅速な行動は、新兵と呼ぶには鮮やか過ぎる。

(巣立ちの時期…だな)

喜ばしいような、一抹の寂しさを感じるような。

複雑な心境で、時雨は隊員達の背中を見送っていた。