今まで大人しくしていたはずのオカマが俺に近付いてくる。 「かーなーりー興味はないです」 「あなたなら、結構上まで目指せると思うんだけどねぇ」 「上にたどり着いたとしても、そこにはきっと俺の望むものなんて何もないと思います」 「?」 「俺は美容師として、たくさんの人の笑顔が見たい。ただそれだけでいいんですよ」 古臭いドラマのようなくさいセリフ。 こんなセリフを恥ずかしげもなくいってしまったのは、……酒の力なのか、麻緋がいたからだろうか。