今だけなんだから。 ビクビクしないでわたしに関わるなんて。 『俺の名前は黒陰 葵』 「…出ってて」 『大好物はねぇー怯えたお姫様、かな?』 なに言ってんのコイツ。 気味悪い。 「早く出てって」 黒猫に目をやると、一瞬だけ視線が重なった。 『よろしくね。お姫様』 コイツはただの黒猫じゃない。 容姿から、雰囲気さえ…。 目を疑うほどに美しかった。