カチカチと時計の音が響く病室。 針は夜の9時を指していた。 “コンコン” さっきとまるで変わらないノック音。 わたしも返事は返さない。 『返事しろって』 また面倒くさそうに、病室に入ってくる先生。 昼間、先生は夜の9時にもう一度来ると言って、部屋を出ていった。 あれからずっと、早く来るのを待っていた気がする。 …なんとなく。 会いたくて、しかたがなかったの。 「…やっと来た」