「それでよろしいですわ。よろしいですか?ここから先は敵地。ここからはおしとやかでつつましい王女、レイアを演じてくださいませ?」



「肝に命じました・・・」



今まで怖いものなしだと思っていたが、今、最も恐ろしいのは怒ったスイレだと思った。




「フフフ、あなたは素晴らしい方です。私たちの学校を首席で卒業なさられたのですから」



「ありがとう」




私たちは馬車から降り、ゆっくりと城内へと向かった。



そう、ものすごく“ゆっくりと”。



「早く歩いてくださいませ」



「無理ですわ、なんせ行きたくないんですもの」


無理に決まっているだろう?行きたくないんだから。



「我がまま言わないでくださいませ」



「・・・・」



何も返せない。だって、顔は微笑んでいるのに目が笑っていないから。