ダークエンジェル

「それと水嶋、
お前もそうだが、リュウも、
必要以外はふらふら外へ出かけるなよ。

とにかく生活態度を気をつけろ。
いや、2人だけではないぞ。

うちは部員に余裕がないから、
都大会で全力を出すには全員が万全の体制で臨まなければならない。

皆、練習は勿論の事だが、
健康管理に気をつけろ。

何かあったら、すぐ俺のところに知らせろ。」



と、石田と布施からナイフを見せられ、

水嶋から毒入りチョコレートの話を聞いている川田、

いやでも慎重な言葉を出している。





「地区大会、優勝したそうで、おめでとう。」



2人が病院に着くと、
美由紀の戸籍の事で来た、
顔見知りの警察官がもう一人と一緒に待っていた。



「あれ、刑事さんでも知っていたのか。

ああ、初めての快挙、ということで皆に喜んでもらった、
なあ、リュウ。」


「そう。差し入れがすごかった。
バスで送り迎えしてもらった。
テニス部のOBがあんなにいるとは知らなかった。」



リュウは刑事に話すと言うより、

眠っている父親に聞えるように話している。



「ところで何のようです。
犯人が捕まったとか。」



水嶋が気分良く、刑事たちに話しかけている。



「いや… あの運転手はまだ… 

我々は【フィール】へ行きチョコレートを買った客の似顔絵を作り、
捜査を始めている。

君たち、この外国人に見覚えは。」



そう言って、刑事が見せた似顔絵は… 

かなり派手な服装の中年の外国人、

若い頃ならさぞかし美人だっただろう、と思えた。

覗き込んだ2人だが… 
全く見覚えはなかった。



「この人がチョコレートを… 」


「誰かに頼まれたのかなあ。
あのチョコレート、かなり高級そうだったから… 

こんな知らない人が自腹で買うわけはないよな。」



水嶋が筋の通った言葉を出している。