「リュウたち、本当に最後まで残ったんだ。」
「ああ、カイルと父さんに見てもらいたいって…
あんなに興奮した龍彦を見たのは初めてだ。」
「そうですね。すごく嬉しそうだった。
だけど家を出る時からあんなにはしゃいで…
本番、大丈夫かなあ。」
リュウから連絡を受けたカイル、
日本に前日入りしている。
そして今、
福島県へ水嶋や顧問の川田と共に向ったリュウを見送り、
カイルは信秀に嬉しそうな顔をして話している。
2人もその内に出かけるつもりだ。
「なあに、あの子が喜んでいるのは、
私たちが見に行くから。
カイルが昨日までに、
ここに着いているから安心しているんだよ。
今までは何があっても反応を示さなかった龍彦が…
私たちが行く事が、余程嬉しいんだろう。
それにしても、カイル、
良くリハビリをしたな。
義足だなんて全く分らない。」
「ええ、一応私なりに自分のものにしようと努力しました。
だけど、正直なところ、
どうしても違和感が抜けません。
それで、あの病院を広げて、
こういうもののための研究所を作ることにしました。
ええ、まずは私の足のためです。
リュウがあの時、
研究者になって研究する、とか言っていましたが…
そんなには待てません。
まだ16歳ですから。」
と言いながら、
カイルは満足そうな笑みを浮かべて信秀を見ている。
実際はともかく、
そんな言葉を出してくれたリュウが
かわいくてたまらない、と言う様な顔だ。
確かに、まだ高校2年生のリュウが大学を卒業するだけでも
6年はかかる。
その後、研究者として義足の研究を始めたとしても、
カイルの気に入る義足が出来るのにどのぐらいかかるか。
気持は嬉しくても…
そんなに待たなくても、
カイルには十分な資金と有能な研究者を集める力が有る。
そしてそれは新たなビジネスにもつながる。

