「じゃあ、本当にカレンも許してやるのだね。」
信秀は念押しの言葉を出している。
「父さんは優しいですね。
だからママは父さんを愛した。
とても良く分かります。
ええ、カレンも許します。
元々彼女はドートンの死で金策が上手くいかなくなり、
そこをキャリーたちにつけこまれたようなもの。
ドートンの隠し子を育てていますから… 忘れます。
孫のキースとドリー、
父さん、感情導入してしまったのでしょ。
リュウがひがんでましたよ。
では、こうする事にします。
キャリーが受け取るドートンの遺産は全てキースとドリーを育てるカレンに行く、
という事でどうですか。
いくらミレーヌが懇願してきても無視します。
それで良いですか。」
と、カイルは信秀が納得するような言葉を出している。
「カイル、有難う。
カイルはやっぱり良い子だ。
龍彦は12歳まで私の手の中で育ててしまった。
あの子を失っては生きていけない、
と思っていた私の我がままがあったと思う。
だからあの子は、子供として成長するに当たって、
受けなければならないいろいろな刺激を受けずに来てしまったのだ。
カイルは物心ついた頃にはソフィアがいて、
愛情や知識を与えられた。
その後は口には出したくないものだったが、
それでも、一人で考える事が出来たと思う。
龍彦は私が囲ってしまった。
それに気づいた私は、
子供が2人いた美由紀と結婚した。
ああ、子供同士で刺激を受け合えばよいだろう、と思った。
しかし、実際は… カイルも聞いているだろうが、
あの子は、嫌い、の一言で、それを4年間も通していた。
もっとも、中学ではあの水嶋君と出会い、
きっと放っては置けないような気分からだろうが、
いろいろ面倒を見てもらっているらしい。
ああ、龍彦に出来た初めての友達だ。
しかし私は、あの子の行く末が心配な時がある。
私は龍彦の親にしては高齢なようだ。
カイル、私がいなくなっても龍彦を頼む。」
やはり信秀の心の中にはそう言う不安も巣食っているらしい。

