「父さんは私に甘すぎる。
私は、父さんには、
私が道に反れるような事をした場合、
はっきり叱ってほしい。
いや、今回のようにしそうな時、
それを感じた時には叱ってほしい。
そうすれば、後で後悔することも無いし、
リュウに恥じる事もない。
私はそう言う人間になりたいと願っています。」
「そんなことは出来ないよ。
いつもカイルを見ているわけには行かない。
だけど、大切な決断をする時、
ちょっとでも迷いを感じた時には私を思い出してくれたら嬉しい。
私はただの国文学者、
カイルのようなビジネスの世界は疎いが、
それでもカイルの心の支えにはなれると思う。
いや、ならなければソフィアに叱られるだろうな。」
カイルの言葉を聞き、信秀ははっきりした口調で応じた。
「はい。実はさっき、キャリーの始末にかかろうとしていました。
勿論今の私は自由に動けませんから命じるだけですが、
2人にヘロインの類を飲ませようと、
指示を出すところでした。
一度飲ませたぐらいでは薬物常用者にはなりませんから、
少しずつ… です。
ええ、考えていました。
その時にリュウから電話があったのです。
リュウから父さんの様子を聞いて…
私は心臓を射抜かれた気がしました。
リュウの心配事は的外れでしたが、
それでも、リュウが…
父さんが見抜いている、
と言う事を知らせてきた、と思いました。」
「カイル… 」
「ええ、これが真実です。
父さん、いつも私を見ていてください。
私はガクトにはなりたくありません。
だけど、悲しいかな、無意識にあいつの心が出てしまうのです。
でも、今、すごく幸せを感じています。
父さん、有難う。」
そのカイルの言葉…
嘘偽りの無い、素直な気持が感じられる。
信秀は穏やかな心を取り戻した気持だった。

