「父さん、カイルからだよ。
カイルが話があるって。
僕、お茶でも入れてくるよ。」
リュウが父の部屋に入ると、
案の定、父は眠ってなんかいなかった。
愛用のロッキングチェアーにすわり、
やはり何か考えていたようだった。
リュウはカイルの言葉通り、
携帯を渡すと、
お茶を入れてくる、と言って部屋を出た。
「カイル、どうかしたのか。」
「ううん。でも父さん、
私の事で悩んでいたのかなあっと思った。
リュウは見当違いな事を心配していたけど、
私は父さんの心が…
悲しい事だけど、
いや、喜ぶべき事と言うのか…
伝わってきた。
父さんは私の話し方で、
ガクトを思い出したのでしょ。
会った事は無くてもママから沢山聞いていた。
父さんは夕方話したちょっとのことで、
私にガクトの非情さを感じてしまった。
だから、どうしたものかと案じてくれていた。
そうでしょ。
しばらくして、
私が自分を責め、苦しむ事までわかっているのに,
どうしてよいか分らない、
いえ、どこまで私に口出ししようか、
迷っている。
実の子供ならば容赦なく諭す事でも、
私はソフィアとガクトの間に生まれた子供、
父さんは口では16年間息子として思っていた、と言っても、
実際は戸惑う事しか出来ない。」
「カイル… 」
いきなりそんな事を言い出したカイルに信秀は戸惑っている。
確かに、リュウは気づいてはいないようだが、
信秀の悩みの種はカイルだった。
そう、その鋭い指摘、
まさに今、カイルの口から出ていることが、
信秀の脳裏にうずくまっていたのだった。

