「形はそうかも知れませんが、
私たちのような温かい家族の愛情などありません。
邪魔な存在だったようです。
カレンも祖母とは言うもののハワード家の人間ではない。
キャリーにとってはただ父から金をせびるだけの厄介な存在。
幼い頃、妹のローザが生まれる頃からドートンは愛人を作り、
以後、家庭内は冷たい風が吹いていた。
そんな中で育ったキャリーは、
いつもドートンを憎み、
折あらば懲らしめてやろうと思っていたようです。
彼女はドートンのような凡庸ではなく、
頭の回転の良い女のようです。
もっとも、表向きは金持ちの我がまま娘、として映っていました。
ところが今年に入って、
理学部の大学院生、ジェフリー・ミクシーという男と知り合い、
お互いに急接近して、
初めは父親の悪口程度だったらしいですが、
ドートンの死で、
会長の座がソージャに移り、
それまでの3年半、
会長の娘としてチヤホヤされてきた待遇と異なるものを感じ…
そしてここに来て、
自分と2歳しか違わない私が会長になった事で、
私を殺せば、と言う愚かな思いを抱いたようです。
勿論、ノートンの入れ知恵もあったと思います。
大学院生だと言ってもたいした将来はありませんから、
キャリーと手を組み財団のトップを狙ったのでしょう。
初めからカレンやキースたちは始末するつもりだったようです。
ええ、そこにいる娘も一緒に。」
と、カイルは調べ上げた事を知らせてきた。
「それでカイルはどうするつもりだ。」
「これらは全て調査機関の者が調べた事ですから、
彼らのやり方を最後まで見たいと思います。
彼らは真剣に私と組織を守ろうとしています。
私が口を出すより、
私は彼らの実力を見てみようと思っているのです。」
「そうか。口は出さないつもりなのか。
それでカレンはどうなる。
一緒にいたキースは。」
「カレンが私を狙ったと言う事は、
エルザを初め調査機関の者たちは知っています。
でもキースは単なる巻き添えでしょう。」
カイルは淡々と話して、電話を切った。

