「うん。
カイル、ずっと一人で頑張って来たのに…
やっぱり可愛そうだ。
僕、神様を恨む。
ソフィアだって…
僕が未熟児だった時は守ってくれたのに…
カイルだって守ってあげるべきだ。」
意識無く眠っているカイルを見て、
リュウはそんな言葉を出していた。
「そんなことは言うもんじゃあない。
こうして会わせてくれたんだから…
これからだ。
これから私たちが、
皆幸せになるように頑張るだけさ。
父さんは、
あの時分かれたままのカイルがこれほどに成長していて、
言葉には出来ないほど嬉しい。
ソフィアに感謝している。
きっと、ソフィアの魂がカイルを守っていたんだ。
今日からは私とお前でカイルを支えるんだ。
カイルなら…
お前がいればカイルの回復も早いぞ。」
そう言いながら信秀は、
麻酔で眠っているカイルの柔らかい髪を、
優しく撫でている。
それはまさに幼子を愛撫しているような仕草だ。
多分、16年前、
ソフイアとカイルに出会った数日間、
2人を自分の家族にと決め、
それまでの孤独を消し去り、
新たな生活を夢見ていた頃を思い出しているようだ。
その時、眠っていた5歳のカイルを…
このように優しく接していたのだろう。
それから半月後、
2人は義足をつけたところのカイルの側にいた。
「じゃあ、カイル、しっかりリハビリをして、
僕が連絡をしたら日本に来てね。」
「龍彦、
それにはお前たちが勝ち残って国体会場へ行かれなければだめだぞ。」
当然、国体の場に立つようなリュウの言葉に、
父は笑みを浮かべて言葉を出している。
今は少しでも
カイルの気持ちを高揚させようという心がみなぎっている。

