それ以上逃げられるのが怖くて、僕は言われた通り、のぞみには近付かないで声をかけた。 のぞみの顔は…青白かった。 薄暗いからそう見えるのかもしれないけど…ゾッとするような怖い表情だった。 でも、瞳だけは悲しげで…さっきまで泣いていたのか、目元が赤い。 「…私…………じゃないんだよ…。」 「…え…?」 声が小さくて、肝心な所が聞き取れなくて聞き返した。 そしたらのぞみは、青白い顔のまま口端だけで笑って、言ったんだ。 「人間じゃない、って…言ったんだよ。」