「気付いたのは講習の初日だ。
あんたのシャーペンを拾った後、何となくあんたのノートをみてみたら、筆跡が同じだった」
切なげに目を細められれば
私の鼓動はこれでもかってくらい早くなる。
どうしよう、
耳がついていかない…っ
それでも彼は
私を気遣うことなく話してゆく。
「何度となくあんたの筆跡を見てきたんだ。
何度も繰り返し目に焼き付けた!!
見間違うはずなんて、
ないんだよ。
講習であんただと気付いた俺は
あんたがシャーペンを落とすたびに拾った。
他のやつになんて、絶対に拾わせない。
あんたが……かわいくて、仕方がないんだよ、俺は」
ああ、神様。
いま、時間を止めてくれたってかまわない。
わたしは、この人のことが、いま堪らなく愛おしい。



