ガチャッ‥


「ただいま」



シンとしている家に私の声が響く。

すると、「屡那?」という私の名前を呼ぶ声が聞こえた。

現れたのは、私の嫌いな人。
お母さんだった。


「屡那」

「‥私ね…この家を出て行くことにした。」

私が言うとお母さんは、なに考えてるの?というような顔でみてきた。

「あなたね…出て行くっていうけど、どこに行くつもり?」

「‥どこでもいいでしょ?」

「あなたじゃ無理よ。なにができるの?」

「もう決めたから。家が見つかったら出て行く‥」

「‥そう。そんなに言うならさっさと見つけて出て行きなさい」

お母さんはそれだけ言うとリビングに向かった。




「なんで‥なんで止めてくれないの‥?お母さん…」


私は家を出て行きたい。

だけど…
お母さんには止めてほしかった