あなたを愛したいくつかの理由

「いきなりキイツこと言ってごめんね」

「あ……ううん」

「君が言ったこと、少し合ってるよ」

 柔らかな笑顔を浮かべて見下ろした。

「え?」

 青年は家の主人と話しているベリルに目を移して続ける。

「俺にとってはベリルは師匠であり父親なんだ。父親を取られる息子の気持ちって、こうなのかもしれないね」

 肩をすくめたダグラスにクスッと笑う。

「……というのはタテマエ」

「え……」

 青年は少し意地悪い顔をして、さらに続けた。

「ベリルと付き合える女性なんて滅多にいないと思うよ」

「どういう意味?」