あなたを愛したいくつかの理由

「っ!」

 肉に刃物が刺さる音がして、ビクリと体を強ばらせたが……痛みが無い。

「……?」

 恐る恐る目を開くと目の前にベリルが立っていた。

「!?」

「……っ」

 押さえた右腕を見るとナイフが深々と突き刺さっている。

「きゃあ!? ベリル!」

 彼は後ろのソフィアを一瞥すると、ナイフを引き抜き痛みに小さく唸った。

 そしてカイダムに無表情な目を向けると男は引き気味に声を上げる。

「ヒッ……『死なない死人』か」

 ベリルの瞳に男は膝をガクガクと震わせて、もはや逃げる事は叶いそうもない。