周りを窺いながら、とりあえずの目標地点に向かう。

 人通りは少なくない。これで逃げられたら捕まえられるのかソフィアは不安だった。

「肌で街並みの空気を読め。人の動きはそう多くは無い」

「! はい」

 逃げる者の心理は大して変わらない。その動きを読めという事か……そう理解して、人々の動きを一つ一つ確認した。

 その時──

<いたぞ! 奴は移動中だった。ベリル、そっちに向かってる!>

「えっ!?」

「引き続き追跡を頼む」

「こっちに逃げてるんですか?」

「肌に伝わる緊張感を読め」

 不安げに見つめる彼女に視線を合わせず応えた。

「!」

 ベリルが何かに気づいて、すいと右を示す。

「平行に走れ」

「! はいっ」

 覇気のある返事を返し5mほど向こうにある道路を走った。

 左にある道路から時々ベリルの姿が家と家の間から覗く。