それから1週間が過ぎ、ソフィアが夕飯の準備をしていると電話が鳴った。

「はい」

 受話器の向こうから知らない男の人の声──父さんの友達だと言ったあと、声を低くして続けた。

「!?」

 男の言葉に声を無くす。

「父さんが……?」

 そのまま床にへたり込んだ。涙が溢れて止まらない。

『父が戦死した』──ずっと聞きたくなかった言葉が、彼女の胸に突き刺さった。

「父さんのバカ……」

 大丈夫だって言ったじゃない……嘘つき……!

<それで、君の父さんの遺骨はベリルって奴が持っていくから……おい、聞いてるのか?>

 ソフィアの耳には、その言葉はもはや届かなかった。